要約|教養としての日本酒【世界を魅了する日本の粋】

健康・食事

あなたは日本酒が好きでしょうか。

日本酒と聞くと一昔前までは古臭いとか、年寄りの飲み物なといった印象があったかもしれません。
しかし近年その考えと価値観は見直され、世界中の人々を魅了しています。

その背景には「和食」が世界文化遺産への登録がきっかけになっているのかもしれません。

ビジネスエリートが知っている 教養としての日本酒 [ 友田晶子 ]からこれまでの歴史やマナーなどを知ることで、日本酒を嗜む人はもちろんそうでない人でも楽しむことができます。
もはや日本酒はお酒ではなく日本の文化の一つと言って過言ではないようです。

日本酒は日本人の技術の結晶であり、日本人が世界に誇れる1つの魅力です。
お酒は飲むことだけではなく、題名にもなっている通り「教養」や「趣味」としても十分に楽しめるほど奥深い魅力を持っています。

酒造好適米とは

ごはんとして栽培されるお米と日本酒を造るためのお米は区別されており「酒造用米」と命名されます。
お米全体を基準に酒造用として栽培されているお米は5%程度です。
その中からいくつかの条件をクリアしたお米が「酒蔵好適米」と呼ばれます。
ちなみに生産量は酒造用米のわずか1%程度にしかなりません。

さらに補足すると一升瓶(1.8リットル)を作るのにお米が1kg必要とした場合、お米を50%以下に削ってから使うことを考慮すると実質2kgのお米が必要となります。

他の高級酒に比べると日本酒はかなり安価な設定となっており、その価値が見直されるはじめており、近年では厳選された酒蔵好適米に伝統技術と最新技術を掛け合わせた高級日本酒に力をいれているようです。

醸造アルコールを深掘り

お米と水のみで作られたものが「純米酒」と呼ばれます。
一方、醸造アルコールを添加したものを「醸造酒」です。

一般的には醸造アルコールと聞くと添加物というイメージが強いことから、醸造酒は良くないと風潮があるようですが必ずしもそうではないというのが著者の主張です。

醸造アルコールを使うことで得られるメリットは以下の4つです。

①腐敗防止のため
②コスト軽減のため
③すっきりとした辛口になるため
④フルーティーで華やかな香りを際立たせるため

コスト軽減のイメージが強い引っ張られがちですが、「辛口」や「華やかな香り」といったところから醸造アルコールを使うことで、日本酒の幅が広がるのではないでしょうか?

お米を磨く精米歩合

製造工程においてお米の表面を磨くことを「精米」といいます。
精米が必要な理由は米の表面にある栄養素が雑味になるため、日本酒作りではほぼ必須の作業とえます。
削り残った部分のパーセンテージで表したものが「精米歩合」です。
※表面を40%削ったものを精米歩合60%となります。

ちなみにごはんとして食べるお米は10%削ることが多いため、精米歩合は90%となります。
このことからも日本酒は希少かつ多くの労力が必要なことがわかります。

しかしながら精米歩合が低ければ良いとは必ずしも限りません。
理由は雑味の本来の旨味を奥ゆかしさ間違いを生み出すことが起こるからです。

「くだらない」の語源

ちょっと脇道にそれたうんちくの話をします。
「くだらない」という語源は日本酒からきているといわれるようです。

江戸時代に物資の運送は北海道から日本海、そして瀬戸内を経て上方を通り江戸に運ばれていたため、上方からの物資を「下りもの」と呼んでいました。

お酒は「下り酒」と呼ばれており、舌が肥えた江戸庶民からも絶大な人気を得るようになりました。

おいしくないもの、良くないもののことを「くだらない」と呼ぶようになったとされています。

温度で変わる日本酒

様々な温度で楽しめるお酒は日本酒以外にないかもしれません。
「冷酒」「常温」「お燗」の3つが基本となりますが、近年業界関係者の発案によって、日本らしい情緒ある言葉にネーミングされています。それぞれの温度とともに紹介します。

みぞれ酒  →  0℃
雪冷え   →  5℃
花冷え   →  10℃
鈴冷え   →  15℃
冷え(常温) →  20℃
日向燗   →  30℃
人肌燗   →  35℃
ぬる燗   →  40℃
上燗    →  45℃
熱燗    →  50℃
飛び切り燗 →  55℃

冷えの温度が常温であることに驚いた人もいるかもしれません。(少なくとも私は驚きました!!!)これは昔日本酒をお燗にして飲んでいた時代に保管をしたお酒とそうではないお酒を区別するために用いられた言葉だからだそうです。

料理と楽しむ

料理やおつまみがあってこそ日本酒は輝きます。
逆説的に日本酒があるからこそ料理やおつまみも一層魅力的なものになります。

昔は塩をつまみにお酒を飲むのが普通と言われていたようですが、日本酒もワインやウイスキーのように料理との組み合わせがトレンドのようです。

注ぎ方のルール

せっかく日本酒の歴史やトレンドを学んだのですから、ルールも学んでいきましょう。

徳利は両手でもって丁寧にゆっくりと注ぎ、注がれる側は必ず盃を両手で持ちます。
テーブルに置いたままの盃に注ぐのは「置き注ぎ」といい、もちろん手のひらが上に向く「逆手注ぎ」もマナー違反です。

美味しい日本酒を楽しむためにも最低限のマナーは覚えておきたいものですね。

まとめ

本書はお酒の基本的な知識をベースに楽しみ方や選び方、歴史から現在のトレンドまで幅広く紹介されており、まさに教養としての一冊だといえます。
本書を基軸に特定地方の地酒に触れてみるも良し、お酒の歴史を深掘りすることも面白いかもしれません。
日本酒に興味がある人もそうでない人も一度は手に取っていただきたい一冊です。

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