人間関係にモヤモヤしていることはありませんか。
今回は自分の小さな「箱」から脱出する方法 人間関係のパターンを変えれば、うまくいく! [ アービンジャー・インスティチュート ]という不思議な題名の一冊です。
―――そもそも「箱」とは何なのか
人間関係が上手くいかない本当の理由と陥りがちな、負のスパイラルから逃れる方法を模索して良好な人生を送れるようになるはずです。
「箱」とは自己欺瞞のことであり「入る」きっかっけは自分を偽り正当化してしまうこと
誰しも箱に入ってしまうことがありますが、箱の中であることを自覚するとともに素直な感情を尊重することを意識する
自己欺瞞
本書を深く理解する上でキーワードとなるのが「自己欺瞞」です。
辞書で引いてみると下記の通りです。
自分で自分の心をあざむくこと。自分の良心や本心に反しているのを知りながら、
それを自分に対して無理に正当化すること
この自己欺瞞というキーワードをわかりやすくする上で、著者は「箱」と表現しています。
「入っている」という表現は自らの感情に背いたときに
自身を納得させよう正当化してしまうことと説明されています。
箱とはそもそもなにか
箱(=自己欺瞞)とはそもなにかということに気づくことが初めのステップになります。
私たちの身近にも起きるような飛行機の座席での行動を例に挙げ説明されています。
例えば席を譲ろうと考えた時、席を譲ったり相手の想いを汲み取って行動できるでしょうか。
それとも何か理由をつけて譲ることをやめてしまうでしょうか。
―――あなたはどちらになるでしょうか。
前者は「自分を他の人々に囲まれた一個人だと感じる」という考え方で箱の外にいます。
一方、後者は「座席というものに囲まれた一個人だと感じる」という考え方で
箱の中にる状態だといえます。
人付き合いについて
前章で席ならいくらでも譲ると考えている方も次の質問はどうでしょうか。
部下を「公平に扱っている」と自負する上司と
部下を「軽蔑したり手荒く扱っている」ことにちがいはあるのでしょうか。
一見すると公平に扱っている前者が箱の外にいて、
後者が箱の中にいるような感覚に陥りがちですが、
正解はどちらも箱の中に入っているのです。
どちらの場合でも部下のことを「問題がある」ということを前提となっている点です。
前者では問題があるが―――公平に扱っている
後者では問題があるため―――手荒く扱っている
前者の公平に扱うことは正しいように思えます。
しかし相手にも問題があることを前提としてしまうと、
前者も後者も変わらず箱の中に入ってしまっている状態といえそうです。
自分への裏切り
箱の中に入ってしまう要因の一つとして他人に対してどうあるべきかという
自分自身の感情を裏切る行動を取ってしまうことにあります。
わかりやすく言い換えると「自分がすべきことだ」と思ったことを実行しないことです。
―――すべきことをしないとどうなるのでしょう。
自らに裏切られた感情はその感情を正当化しようとします。
正当化するためには自分以外の人に責任を負わせる理由を考え始めます。
他人に責任を押し付けられる理由が出来れば、
自らが被害者を装えば自分への裏切りは完成です。
自分に対して裏切ったはずなのに、同時に相手を陥れてしまっていることにも注目してください。
行動の連鎖
自分への裏切りは最終的に自分を正当化するために相手を陥れてしまいます。
自らを正当化し相手を陥れてしまうまでのステップを確認していきましょう。
①他人のためにするべきことをせず、自分を裏切る
②自分への裏切りを正当化する視点から物事を見る
③正当化するための視点であるため現実を見る目が歪められる
ここまでは前章の通りです。
④歪んだ現実がいやになり箱に入る
⑤時間の経過とともに箱の中の自分がそもそもの性格だと考えるようになる
⑥箱の中にいる自分と同じように相手もも箱の中に入れてしまう
⑦お互いに箱の中にいる(自己欺瞞)ため互いに相手を陥れようとしてしまう
このように自分を裏切ったことで相手も裏切り、相手からも裏切られ
抜け出すが困難な負のスパイラルが生まれてしまいます。
成果重視の矛先
箱の中に入ると自分に目を向けだけで手一杯になってしまいます。
会社での成果を重視していると自負している人は要注意です。
このような人物は成果を重視しているように見えても
他人の成功自分の成果に比べて軽く扱ってしまうからです。
大概の人は会社の誰かが成功しても、自分自身が成功した時のようにを喜べません。
それだけならまだしも、自分にだけ意識が向いてしまっていると
他人を踏みにじってまでも自らの成果をあげようとしてしまいます。
これは果たして全体を俯瞰して見たときに「会社の成果を上げよう」としているといえるのでしょうか。
そんなことはないと思っている人ほど自己欺瞞という箱に入ってしまっているのかもしれません。
自己欺瞞から抜け出せない行動
箱の中という自己欺瞞の状態では行動を起こしてみても無駄になることが多いそうです。
無駄な行動を知るとこで反面教師として本質に近づけるはずです。
ここでは、陥りがちな無駄な行動を6つ紹介します。
①相手を変えようとする
②相手と全力で張り合う
③その状況から離れる
④コミニュケーションを取ろうとする
⑤新しいテクニックを使おうとする
⑥自分の行動を変えようとする
自己欺瞞から抜け出す
最終的には箱の中という自己欺瞞から脱出する方法はなんなのでしょうか
それは「自分が間違っているのかもしれない」ということを常に反芻しながら、
相手は自分とは違う一個人の独立した人間であるという
他者性を認めることだと著者は説明しています。
相手を人として心から尊重できるようになるができることすなわち、
箱の外に留まり続けることができるようになるはずです。
まとめ
本書は自己欺瞞の認識がない主人公と自己欺瞞を箱の中にいるという表現から
優しく寄り添おうとする指南者バトとの対話形式による内容です。
私たちは自分への関心が強すぎるゆえに自らを欺いてしまいがちです。
箱から出て相手を認めることが多様性社会を生き抜いていくスキルになるかもしれません。
「自分は箱になんて入っていない」と思った方ほど手に取っていただきたい一冊です。
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