100%で成功を方法は誰にもわからず、確約することができません。
しかし、必ず失敗する方法ならばすぐにわかるはずです。
すなわち逆説的に考えれば、失敗する方法を避ければ成功に近づけるのではないでしょうか?
重要なのは幸福(成功)になる方法を考えるのではなく、不幸(失敗)を避ける方法を知ることです。
人生を賢く生き抜くことを題材としたThink Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法 [ ロルフ・ドベリ ]を紹介します。
するべきでないことを排除することで間違いを減らし、成功に近づきましょう。
アリストテレスの残した言葉を指針として陥りがちな思考や行動を避けて生きましょう。
「賢人が目指すべきは、幸福を手に入れることではなく、不幸を避けることだ」
理由つけることで感情を増長させない
交通機関の遅延やEコマースでの配送遅延は誰しも経験したことがあるかと思います。
理由がなければ、私たちは強い不信感を抱きます。
しかし天候の問題なのかシステムの不具合なのか何かしらの理由が分かるだけで、私たちの感情はいくらか落ち着きを取り戻すことが出来たはずです。
仮に問題が解消されなくても理由によって私たちの脳は都合よく正当化しようとするようです。
これを利用して芳しくない状況での説明には理由をつけることで問題を最小限に留めましょう。
愛着に潜む罠
私たちは自分が関与していないモノについてはネガティブに評価をしてしまいます。
これをNIH症候群(Not Invented Here syndromeの訳と呼びます。
最近の流行りでDIYが盛んに行われていますが、自作した家具が市販品よりもよく見えてしまうのはまさにNIH症候群の反証です。
また、IKEA効果と呼ばれるビジネスモデルもNIH症候群を利用したと言えます。
モノを大切にすることは良いことですが「愛着」という言葉には注意が必要なようです。
自分の思考は本当に常識なのか
突然ですが自分の意見が多数派だと思い込んでいませんか?
これは[偽の合意効果]とよるものであり、私たちの脳は誤った推測しがちです。
自分と意見を異なる人たちを簡単に変わるものだと決めつけてしまうことにも注意が必要です。
あなたの意見が主流だと思い込まないことが大切です。
相手を考え方が違う愚かな人格だと懐疑的になるのではなく、自身の考えが本当に妥当だと言えるのかを疑ってからにした方が良さそうです。
感情に操られがちな私たち
[決定理論]とは正しい評価を行うための方法の一つです。
しかし私たちは物事を決める際にこの決定理論を使用する人はすくないはずです。
(そもそも決定理論という言葉を初めて聞いた方もいるかと思います。)
感情ヒューリスティックの効果で好きだと感じるとリスクが少なく利益は多く、
嫌いであればリスクが大きく利益も少ないと判断を見誤るようになりやすくなります。
感情に任せる判断にはバイアスという偏りがあることを忘れてはいけません。
机上の数字マジックを知る
あなたは[ウィルロジャース現象]を知っているでしょうか?
例えば販売店Aには3名(スタッフ①、②、③とします)のスタッフがおり、販売店Bにも同じく3名(スタッフ④、⑤、⑥とします)のスタッフがいます。
それぞれの売り上げはスタッフ①は100万、スタッフ②は200万…となり、スタッフ⑥は600万と仮定します。
販売店Aの売上平均は200万、販売店Bの売上平均は500万となります。
この売上平均を上がったように見せるためにはどうしたらよいでしょうか?
答えは販売店Aにスタッフ④を移動させるだけです。
売上平均は販売店Aは250万、販売Bは550万に増加させることに成功です!
なんと数値を操作するだけで数値が見違えるほど改善されたのです。
こうして数字遊びをすることで印象を良くするのが「ウィルロジャース現象」と呼ばれるものです。
…しかし実際は良くなったように見えているだけ。
中身を知ることをせず、表面上だけで判断するだけでは真意を知ることは出来ません。
未来は誰にもわからないはず
困ったことに人間には他の多くの人にも適合する性格の描写を自分だけに当てはまるように感じてしまう傾向があるようです。
この傾向を[フォアラー効果]あるいは[バーナム効果]と呼びます。
占いによく使われる手法ですが、実はコンサルタントやアナリストも活用しています。
例えば「開業競争が激化している環境において株価が著しく値上がりする可能性を秘めている」といった発言はどのような企業にも同じことが言えますよね?
今日からTVや動画サイトでいかにもそれらしい発言をしている人を見かけたら、どの内容にも当てはまることを言っていないかに注目したほうがよさそうです。
得意分野を増やして見落としてを避ける
人間は自分の得意分野に偏ったものの見方をしてしまう特徴があります。
例えば何か仕事で失敗してしまった原因を究明しようと考えてください。
あなたが営業であれば、プレゼン方法が悪かったと推測するかもしれません。
設計者であればもっとデザイン性や機能性の高い製品であれば売れたかもしれない…。
資材関係者であればコストメリットが出せれば…。
それぞれ自分が携わる分野の視点が大きく影響します。
自分の所属する以外の思考で多角的な視点を持つことで明晰さが上がります。
意味がない犯人捜しをやめる
製品のリコールや企業の粉飾決算などの規模が大きいものから、在庫管理のミスやレジの打ち間違いといった小さなミスまでどんな事象も起こる原因は1つではないはずです。
(もちろん成功を上げたことに対対する下原因も1つではありません。)
多くの要因が重なった結果であるにも関わらず、私たちはいつもたったひとつの要因を突き詰めようとしてしまいます。
これからはミスが起きても犯人探しをするような事はやめるべきなのかもしれません。
その人だけが全ての原因ではないはずですから。
まとめ
自らを俯瞰的に視ることが何よりも重要であると言えるでしょう。
日々思考や行動にバイアスにより人生における重要な判断をするメガネが曇っていたり歪んでいないかを確かめられる内容です。
自分の思考や言動を改めるきっかけにし、失敗から自らを遠ざけたいものです。
シンプルかつスマートに失敗を避けた人生を送りたい方に手に取って頂きたい一冊です。
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