要約|すばらしい人体【ハイスペックな身体を知ろう】

健康・食事

みなさんは10キロのお米を担いでいまと同じように生活することが出来ますか?

人間の片足も10kg程度はあるのに自分の体にだけはさほど重さを感じません。
その理由を探っていくと人体がいかにすばらしい機能を持っているかがわかるようになります。

すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険 [ 山本 健人 ]は過去から未来まで、頭からつま先まで人体と医学を楽しく俯瞰することで、新しい視点で人間のすばらしさに気づくことができるはずです。

人体の当たり前は驚くほど精巧で複雑な仕組みが備わっているからこそ成り立ちます。
普段は意識することもないようなことが実は驚くべきハイスペックな機能で、それらが機能することで私たちを生かしていることを実感できます。

カラダは重い

冒頭にも触れたように私たちの体の部位はかなりの重量持っています。
体重50kgとすると頭部は5kg程度あり、足は1本あたり10kg(つまり両足で20Kg)片腕でもすら5kg程度あります。

頭や手足は肩や背中、臀部といった大きな筋肉で支えているため、必要以上に重さを感じにくいというのが答えです。
重いカバンを手で物よりリュックサックに形で作用法が軽く感じるのと同じ理屈です。

舌の機能

舌の機能と言われると味覚に意識が行きがちですがもっと多彩な機能を備えています。
例えば咀嚼(ソシャク)や嚥下(エンゲ)という重要な動作や発音するにも必要です。

今回は「味蕾(ミライ)」という感覚をつかさどる高度なセンサについてのお話です。
塩味、うまみ、甘味、酸味、苦味の5つの味覚の識別はもちろんのこと(辛みは痛覚のため味覚ではないというのは有名な話です。)味覚の識別に加えて痛覚、触圧覚、温度覚という具合に多くのセンサ機能を持ち合わせており、優秀で非常に高度なセンサであるといえます。

例えば、舌の先や指先ではもっと短くたった2、3ミリでも認識できるほど鋭敏です。
一方、2本のペンを体の表面(背中など)によってその距離を縮めていくと、ある距離から2点で触れられていることがわからなくなります。
舌のセンサの感度がいかに高いかがわかるはずです。

臓器と外傷

実質臓器」とは中身が詰まった臓器のことを指します。
具体的には肝臓や腎臓、脾臓、膵臓などを対象となり、実質臓器は形を変えられません。
一方で、胃や腸が該当する「管腔臓器」は、凹んだり膨らんだりと外からの力によって柔軟に大きさを変えられるため、実質臓器よりも外傷に強いといえます。

外傷については銃や刃物による外傷を「穿通性外傷」と呼びます。
一方で交通事故や転落による外傷を「鈍的外傷」と呼ばれます。
明らかに傷がつく穿通性外傷に比べ鈍的外傷は広い範囲に損傷が起きやすく重篤化しやすいというのも特徴です。

身体には傷つきやすい部位とそうでない所があることを知り、自分の体を大切にしましょう。

体の設計図

私たちの体には受精卵というたった1つの細胞からできており、体を形を作る設計図があります。
各部位が違う作りをしていることから、それぞれ別の設計図を持っていると誤解しがちです。

実際はすべての細胞が同じ設計図、同じ遺伝子を持っており、置かれた場所で必要な遺伝子だけが動くことで異なる部位を形作っいるそうです。

要するに分厚い参考書を設計図とするならば、胃は1章と3章を参照させ、腸ら2章と6章を参照するといった具合だそうです。
(ちなみに2万2千章もあるということにまず驚きます。さらにそれらは参考書全体の数%ほどで、残りは使われない補助ページであることに再び驚きをかくせません)

アクレピオスの杖

世界保健機関(WHO)のロゴマークをご存知でしょうか―――
国連のシンボルの中心に背が大きく分かれていますこれを「アクスレピオスの杖」と呼ばれ、医療のシンボルマークです。

アクスレピオスとはギリシャ神話に登場する名医であり、医学のツールは古代ギリシャにあります。
長い歴史と多くの著名な人物の努力の上に現代医学が成り立っているといえます。

コッホの四原則

1905年ノーベル医学生理学賞を受賞したコッホの理論は「コッホの4原則」として医学会では今も広く知られているそうです。

①病気にかかったすべての答えで特定の微生物が検出され健全な個体から血が検出されないこと
②日その微生物は純粋培養で育てられること
③培養したその提出微生物を健常な答えに感染させると同じ病気を引き起こさせること
④感染させた答えから再び得られた微生物が下の微生物と同一であること

これらが4つの原則を満たすこと、それすなわち「原因となる細菌を殺すことができたなら、それは病気を根本から治せる治療になる」ということになります。

この原則に沿って現在も猛威を奮っている新型コロナウィルスも早々に終息を切に願いましょう。

糖尿病で失明

糖尿病はインスリンの不足やインスリンに対する体の反応が鈍くなる「インスリン抵抗性」が原因で起きる病気です。

高血糖にさらされていると様々な臓器に傷が起きるそうです。
なかでも代表的なのが「神経」「目」「腎臓」の障害だと言われています。
多くの学生は国家試験に備えてこの三大合併症を「しめじ」と語呂合わせで覚えるそうです。

ちなみに糖尿病は日本の失明原因の第三位にもなっています。
医学生には縁のない私たちも一般教養として覚えておいてもよいかもしれません。

麻酔の意味

全身麻酔は眠っている間に終わると説明されることが多いが厳密には意識を失うだけでは不十分だということを知っていたでしょうか。
鎮静で意識をなくし、鎮痛で痛みをなくし、無動で筋肉を弛緩させる3つの要素がそろうことが全身麻酔だそうです。

意識がないと痛みを自覚できないのになぜ鎮痛まで必要になるのか―――

それは無意識下でも痛みは体への強いストレスとなるためです。
自覚していなくても体には有害であるからというわけです。

まとめ

お医者さんの視点で人間の体の凄さを医学的に非常にわかりやすく解説されています。
医学発展の歴史と同時に多様な器官の機能や特性についても紹介されており、読み進めながら自らの身体を使って試したくなる事例もあります。

生きていく上で、自分の家族や友達、仕事相手などの身近な人の特徴や考えて方を知ることで良好な関係が築けます。
同様に人体の仕組みを知ることは、最も身近な相手を理解することでもあり、一般教養として身に付けておいて損はありません。

ハイスペックな人体の機能を知り、自らの身体と良好な関係を手に入れる一歩として手に取っていただきたい一冊です。

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