要約|僕らはそれに抵抗できない【恐るべき行動嗜癖】

思考・考慮

あなたは依存症ですか?
依存症と聞くと薬物を想像しがちですが、行動にも依存症が存在します。
人を動かすため、世の中にある多くの製品やサービスにはあなたの意思力とは関係なく依存させる罠がたくさん仕掛けられています。
そんな仕掛けを僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた [ アダム・オルター ]から学ぶことで意思の力では抗うことのできない依存を認識していきましょう。

依存ビジネスは現代において誰も抗うことはできません。
行動嗜癖という依存の正体を知ることで、真の自由を取り戻し、自分にとって本当に価値ある時間を過ごすための一歩を踏み出しましょう。

行動嗜癖による6つの要素

スマホやNetflixを「やめたいのに…やめられない」良くないことだとはわかっていても
抗うことができないこと。それらを「行動嗜癖」と呼びます。

行動嗜癖を起こす6つの要素からなります。

①ちょっと手を伸ばせば届きそうな魅力的な目標がある
②抵抗しづらく、予測できないランダムな頻度で報われる感覚
③段階的に進歩・向上していく感覚
④徐々に難易度を増していくタスクある
⑤解消したいが解消されていない緊張感がある
⑥強い社会的な結びつきがある

薬物などの悪影響を及ぼす反面、ビジネスの観点からみればスマホアプリや動画コンテンツ、SNSに至るまで行動嗜癖の要素を取り入れることで顧客を囲い込む圧倒的な強みにもなりえるというわけです。

記憶に埋め込まれる依存症

本書ではヘロインという薬物を常習していたベトナム帰還兵についての研究と、ラットによる研究と絡めた考察が展開されます。
結論は依存症の引き金は記憶や場所によってもたらされるということです。

依存を完全に克服できたと思い込みいつもの行動を取ることが、合図となって元の依存に戻ってしまうというわけです。
もちろん依存の症状は物質に対してだけでなく、行動に対しても同じです。

40%が依存症

イギリスの心理教授マーク・グリフィスによると全体の41%は過去1年間に少なくとも1つの行動に依存的に従事しているという真実があります。
これらの依存症にはアルコール、ニコチン、睡眠薬、薬物、ギャンブル、買い物、インターネットETC 多種多様なものが対象です。
依存症となにかヤバいのではと考えてしまいますが、隣にいるあの人もあるいは自分自身も何かしらの依存症に陥っているといえます。

成人の2/3がかかる現代病とは

成人全体の3分の2が罹患(りかん)している現代病は慢性的な睡眠不足です。
スマートフォンなどのデジタルデバイスの普及により爆発的に増加しました。
高度なテクノロジーであるがゆえに、私たちはその虜となってしまい、大切な健康を損ねているようです。

将来の依存性

現代人は既に家族や友人に関心を向けることが苦手なっています。
理由はスマートフォンやタブレットが手元にあることで目の前の交流から気が散ってしまうためだとされています。
さらに将来的にVRデバイスやAR技術の向上により薬物などの物質依存から行動依存の比率が増えていくとされています。

そもそもスマートフォンやタブレットは行動嗜癖を促すような設計になっています。
有名な話ですがスティーブ・ジョブズは自分の子供にはiPhoneやiPadを与えていません。
このことからも危険性を承知で行動嗜癖を促すいデザイン・性能になっているかは明らかだと思いませんか。

ビギナーズラック

ビギナーズラックには人を依存させる力があります。
成功の喜びを受け取りますが、次にその喜びを奪われてしまうためです。
スマホゲームは単純明快で老若男女誰にでもアプリをインストールするだけでプレイができてしまいます。
そこにビギナーズラック要素を含ませることで、ゲーム依存症を引き起こさせます。
心を鷲掴みにされたら最後、「僕らはそれに抵抗できない」のです。

ツァアガルニク効果

突然ですがあなたに質問です。
1週間前の夕飯のメニューは?
たぶん特別な日でもなければ、覚えていないという方が大半なはずです。

それでは1週間前に観たドラマの最後のシーンは?
多くの方は答えられたのではないでしょうか。
同じ1週間前の出来事なのに差が生まれてしまうのは何故でしょう。

それは人間は完了した体験よりも、完了していない体験のほうに強く心奪われる心理的要素を持ち合わせています。
これがツァアガルニク効果という現象です。

まとめ

人を依存させるメカニズムが数多く解説されています。
何かがやめられないのは自分の意思が弱いからではなく、行動嗜癖によるビジネスの術中にハマっているだけなのかも知れません。

今後も増えていくであろう依存ビジネスに真っ向から抗うことは出来ませんが、本書の内容を知ることで耐性が身につくはずです。
依存と上手く付き合っていくための指針として手に取って頂きたい一冊です。

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