子どもの才能を開花させるためにはどのようなことが必要でしょうか―――
あなたの頭に浮かんだのは「小さい頃に習い事を始める」ことや「大きく伸ばしたいことにだけ集中して取り組む環境にする」ことではないでしょうか。
これらは「早期教育」や「1万時間の法則」と呼ばれ、もしかしたらあなたも聞いたことがあるかもしれません。
RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる [ デイビッド・エプスタイン ]はこれらを真っ向から否定し”幅”という経験を活かすことを重要視します。
本書も「幅」の一つとして一読して頂ければ幸いです。
多様化が広がる現代において、すべてが正解になりうる可能性を秘めています。
自らの可能性を広げる知識・経験の幅(Range)持つことで、数多くの成功ルートを歩むことができます。
専門特化
「早期教育」や「一万時間の法則」と呼ばれる方法は専用特化型の教育と総称できます。
本書ではゴルフやチェスなど、戦略的に同じパターンが繰り返し現れるものに対してのみ有効だとされています。
テニスなどの戦略パターンが不確実であり、正確なフィードバックが得られない事柄に対しすると、専門特化型の経験はむしろ固定概念を植え付けてしまう悪循環に陥りますといえます。
また、専門特化型は視野が狭くなりがちなため、専門家と呼ばれる人々も時には危険な間違いを犯す可能性を孕んでいるのです。
あらゆる選択肢
「あらゆる選択肢」を試すことがレンジという”幅”を活かして成功を納める秘訣です。
仕事に対して、自分に合っているかどうかという視点で「マッチ・クオリティ」という言葉で表現されています。
Aの道に進んだり、一時的にBの仕事に就いたりあらゆる選択肢を検討して時には寄り道をすることで、最も自分が適した職を見つけられるかもしれません。
あらゆる選択肢と聞くと「転職」というワードを想像される方も多いでしょう。
ここでの転職は今までとは違う業種に取り組むことを指します。
一から学ぶことは不安ですが、これらは一時的なマイナス分であり掛け算の要領で遅れは取り戻せるものとも述べられています。
ストレングス・ファインダー
ストレングス・ファインダーとは、自分の強みを見つけるためのツール類という意味です。
CはDだからEとなるというように、道筋が立った答えを私たちは欲します。
そのため新たな何かを発見することという不確定要素を含む可能性に賭けて何かに取り組むことは非常に難しいとされているようです。
関連性を学ぶ
専門特化型の代表でもある早期教育は目に見える進歩がわかりやすいため、学びが進んでいるように感じることが多いです。
目に見える進歩よりも重要とされているのは「深い学び」です。
深い学びとは根本的な構造から共通性・関連性を見出すことを指し、この能力を身に付けるには非常に時間と労力がかかります。
わかりやすくまとめると深い学びとは「問題解決能力」といえます。
パターンに依存しない
高い専門性を身に付けるとパターンに依存しやすくなります。
問題解決に向かう中でのパターン化は非常に厄介で、本来であれば他の優れた方法があったとしても、それらを無視して自分の最も得意なお決まりのパターンに落とし込もうとします。
パターンに依存しないためのポイントを紹介します。
①クロス・プレッシャー
異なる意見にさらされることを指します。
当然のことかもしれませんが、他人の意見を聞きつつ自らの意見を出すことが大切です。
②意識的にアマチュアになる
パターン化を取り除くブレイクスルーが必要です。
※従来の考え方の枠を大きく、打ち破った考え方で解決策を見出すこと
思いつきで行う行動が、思いもよらない結果をもたらす場合があります。
まとめ(レンジを広げた先に)
最高の自分を見つけるためには、様々チャレンジが必要となります。
またチャレンジする上で他人との比較はレンジ(幅)を狭める原因にしかなりません。
一見、遠回りに見えるような寄り道がより多くの学びとなります。
その経験から自分にとっての優先順位を見極めることができるようになります。
専門特化型が最も効率的だと考えられてきた時代は終わりを告げたというのも過言ではありません。
幅という強みを生かしてこれからの社会を生き残る準備をしたい方に手に取っていただきたい一冊です。
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